人気ブログランキング | 話題のタグを見る

いいたいことは少しある

seiyaku.exblog.jp
ブログトップ
2016年 05月 01日

わき水


戦争で焼けなかった都市は
戦前の区画が残る。

戦前の区画という事は
戦後の区画ではないという事だ。

高度成長に影響を受けていない
区画という事になるので
わかりやすく言うと
道が曲がっていたり
細かったりする。
うねうね曲がった道は
交通の効率を下げるし
路地のような道は
空気が淀み
衛生的ではない。  

戦後の区画ではない
戦前の区画が残った
道が曲がり
道が細い
路地のある都市に
隠れ家のような
バーがある。

とてもわかりにくい
場所に存在する
バーに
僕は行った事がある。


それが
現実だったのか
夢だったのか
あやふやなくらい
非日常なバーなのだ。

村上春樹の初期の小説に
鼠のいるバーが出てくるが
それに似てなくもない。

鉄の扉を開くと
カウンターがあり
カウンターの奥には
大きなガラス窓があり
大きなガラス窓からは
湧水が見えた。

湧水だ。

わき水が流れているのだ。

地中から
水が湧き上がり
湧水となり
小川のように流れていた。

湧水が見れる
隠れ家のような場所にある
バーなんて
本当に存在するのだろうか。

湧水は
言うまでもなく
清水である。

水がきれいなので
季節があえば
水のそばの
蛍を見る事が  
出来るらしい。


こうして
書き起こしながら
そのバーは
現実だったのか
夢だったのか
本当に
あやふやになる。


そのくらいに
非日常な
バーに
行った事がある。

非日常とは
例えれば
イエスの降臨みたいに
日常を超えた
非日常なので
どんなものも
許し許され
静けさに収束し
あらゆる事が
福音に結びつく
そんな場所であった。

今考えてみると
現実だったのか
夢だったのか
あやふやになるくらい
非日常の場所で
僕が
感じた事
許し許された事は
現実だったのか
夢だったのか
あやふやな感じが
してならない。

そんなバーは
しかし
確かにあるのだ。
そんなバーに
ふたりで行った。

そこにたどり着いたのは
同伴者の成果なのでは
ないかと思っている。

非日常を
日常を超えた何かを
求め続けている
同伴者の
ひとつの成果が
そこへと導いたのかもしれない。













by kouji_kotani | 2016-05-01 21:18 | Comments(0)


<< 後輩のいない先輩の先輩      リフ >>