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いいたいことは少しある

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2006年 10月 08日

花巻の事

岩手県・花巻に行ったことがある。
宮沢賢治が理想郷(イーハトーブ)と言った場所です。

新幹線の駅おりると、
雲がひくく、
流れがはやくて、
遠く山並みが見え、水田が広がり、
空気がすんでいた。

僕は仕事で行った。

むつかしくない
仕事だった。

打ち合わせした場所には
芝生があって
なだらかな曲面だった。
地元のかたにきくと、
もとゴルフ場跡だった。

夕暮れどき
ゴルフ場跡を歩くと
理想郷の一部に触れた気がした。

日曜日は、休みだったので
釜石線に乗って遠野に行った。

遠野のかたに
道を尋ねると
尋ねた場所まで一緒に歩いて案内してくれた。
親切だけど無防備な感じだ。さらわれてしまうくらい無防備な感じがした。
神隠しの伝説を思い出した。

花巻から遠出すると大沢温泉がある。
露天風呂に入ることができる。
ここの宿は、湯治場でもあるので、農作業を終えたおじさんやおばさんが
沢山すみこんでいたりする。
新館は一般客で
旧館は湯治客なのだ。
新館から旧館には、細い渡り廊下で、繋がっていて、
階段を上り下りしたり、
途中、床屋のネオンがくるくるまわっていたりする。
不思議な感じがする。
天井桟敷みたいな不思議な感じだ。

露天風呂は気持ちよいが
完全に混浴なので
若い女性のかたは入れないと思う。



奥に向かえば、
沢山の小さな温泉場がある。
先輩に引きづられて、
小さな温泉場に行った。
そこの女将と先輩と僕とで居酒屋に行った。
閉店までいた。
お店をはねて、女将(おかみ)さんの部屋で飲み直しになった。
火燵に入りながら。
僕は横になって伸びをうったら、眠くなった。
浅い眠りなので何度も、めがさめた。
女将と先輩は、小さな声でぽつぽつ喋ていた。
自分がそこにいる事が、野暮な事に、やっと気がついた。
どうしようもなく、火燵に入りながら朝を向かえた。



僕ひとりだけで
最終打ち合わせに
再び花巻に向かった。
もちろんわけなく仕事は終わり、
せっかくだからと思い、花巻から盛岡まで
新幹線で北上した。

12月、クリスマスシーズン間際だった。
外でごはん食べて
ホテルに戻った。
NHKで日本のロックバンドが
次々に登場する番組を見てた。


潮時だ。潮時!
東京に帰らなきゃいけない。
帰るべきだ!

突然そう思った。

あんなに心の底から
郷愁を感じた事はそうそうない。

ぎゅう~と、胸が痛くなった。


なんだったんだろう。



寝たり食べたり寝たりして東京に帰った。

ずいぶん昔の話です。

by kouji_kotani | 2006-10-08 14:28 | Comments(0)


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