人気ブログランキング | 話題のタグを見る

いいたいことは少しある

seiyaku.exblog.jp
ブログトップ
2012年 05月 03日

叙情と美

熊本行きのJAL搭乗のなかで
赤坂憲雄さんの「東北学」を読んでいました。
柳田国男が考えた
「瑞穂の国としてひとつの民族が誕生した」
という民俗学に対抗し、
柳田国男の歴史観を論破する本です。
辺境に残る事実から
かつてあった多民族の豊かさを綴った本です。
ヒエは飢饉に強い植物であるにもかかわらず
瑞穂(コメ)をわざわざ耕作するのは
支配された結果である。
稲作以外を雑穀と「蔑視」されるのも
支配された結果である。
そういう論が続きます。

この本の特質は論述に叙情がにじむ点です。
宮本常一さんに近いスタンスだと思います。
読みかじると叙情の味がするのです。

連休中日、熊本へビジネスで向かうのも
どうなんだろうと思いながら
かばんのなかから文庫本「東北学」を取り出して
読んでいました。

熊本は、今日の東京みたいに
雲天で
ときおり雨が降っていました。

角にスターバックがあり
すこしいった先にホテル専用のパーキングがある。
そこにレンタカーをとめて
近所の居酒屋でおとこ3人で食事をとりました。
ホテルでルームカードを受け取り
チェックインしました。

角にスターバックスがあるとおりは、
石畳で欧州みたいな瀟洒な感じの裏通りです。
時折降る雨に新緑がうたれていました。
角の裏通りのスターバックスは
論述に値する民俗学の対象地ではないけれども
旅情を感じるたたずまいがありました。
街のなにげないたたずまいにひそむ叙情みたいなもの
それは心地よい風景でした。

波奈之丸船屋形 なみなしまるふなやかた
が熊本城にあります。
かつて参勤交代に熊本から江戸にむかう途中まで
船で移動したんですって。
参勤交代に海運が用いられていたなんて
まったく知りませんでした。
その船の一部、屋形、つまりはホテルの客室が
今でも現存しています。

細川家は「美」に貪欲な感じがしました。
東京目白台にこれまた瀟洒な永青文庫があります。
細川家代々の至宝を保存している場所です。
写真で見たことはあり
実際には足を運んでいるわけではありません。


叙情だとか美だとか
そういうことに意識がむかうのは
連休休めといっているからなんだと思います。
休めと自分のからだがいっているからなんだと思います。
遅ればせながら本日から
連休にする決意をしました。

by kouji_kotani | 2012-05-03 10:50 | Comments(0)


<< Leonard Cohen      Patricia Barber >>