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いいたいことは少しある

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2016年 09月 11日

談春から朧月


知らない事はいまだに
たくさんあって
この歳になって
初めて知る事は
本当にいろいろある。

落語の演目が
演者によって
まるっきり別の
お噺に変わる
という事を
最近知った。

というか昨日知った。

立川談春の芝浜を
YouTubeで聞いていたのだが
僕が知っている芝浜より
はるかに尺が長かった。

お噺のテーマも
愛憎の様が描かれていた。

まるで艶噺を聞いているかの
ようだと思った。

ひとつの演目の
演じられる時間や
噺の運びや
描かれていく主題が
まるっきり違う。

その事を知った。

立川談春の芝浜は
面白いと思った。

伝承芸能は
はかないと思った。

立川談春の芝浜は
記憶に刻まれ
当代の人気落語家として
後世に伝わる。

立川談春という
噺の上手い
噺家がいる
という事は
伝わるが
それ以上を
伝えるのは
難しいと思った。

談春の芝浜や
料理人のレシピや
職人のカンナの削り方や
あるいは
今日の春のような朧月の美しさは
伝えたくても伝わらない。

コトバに限界があって
談春の噺は噺を聞くしかなく
料理人の料理は食べるしかなく
職人のカンナの削りは木目を
撫でるしかなく
今夜の朧月は外に出て
見るしかない。

コトバは
上手いとか
美味しいとか
柔らかいとか
せつないとか
しか綴れない。

コトバの限界は
この歳になるまでに
何回も理解してきた事であるが
あらためて
思い知ると
ちょっとせつなくもなります。

以上、談春の噺を聞いた
感想です。

by kouji_kotani | 2016-09-11 22:31 | Comments(0)


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