日本中の誰もが知っていて
おそらく世界でもかなり著名な
芸術家の
一番弟子の方と
僕は知己を得ました。
訳あって
一番弟子の方の
プロフィールを
見る機会があったのですが
日本中そして世界でも著名な
芸術家と
仕事場をともにしたのは
12年間でした。
12年間が長いのか
短いのか
それはわからないけれども
仕事場で
ともに過ごした間
芸術家から受けた影響というものは
たいへんなもの
だったんだろうと
思います。
芸術家からは
徹底的にマナーを教わったと
芸術家の一番弟子の方から
聞きました。
芸術家はフランスに
滞在していたので
フランス仕込みのマナーを
習得しており
一番弟子の方は
たいそう厳しく
マナーを
教わったそうなのです。
約束の時間に絶対に遅れない
という
マナーも徹底して
教わったらしい。
一番弟子の方と
待ち合わせすると
約束時間の30分以上前には
約束の場所に
来ていらっしゃる。
約束場所の
近くの
喫茶店に
いるのではなくて
受付前の
ソファーに
約束時間が来るまで
じっと座っているのです。
すいません
お待たせして
と毎回こちらが言うことに
なります。
受付の前で
一番弟子の方は
何かを見るでもなく見ており
何かを考えるでもなく考えており
ひとり
ぽつんと座っていました。
それは
禅を組むかのようにも
見えたし
ただ所作なく
放心しているかのようにも
見えた。
はるか昔に
なくなった
日本中そして世界でも著名な
芸術家から
徹底して鍛えられた
約束時間を絶対に守る
そのことを
今もって実施している。
師匠である
芸術家が
弟子に残す強さを
感じました。
こたにさんあれあれと
高層階の窓から
一番弟子の人が
秋空を指し示すことがありました。
入道雲が見えますね
と一番弟子の方は
僕に語りかけ
入道雲ですね
入道雲ですね
と何度も
つぶやいていた。
入道雲のカタチにココロが
取られたのか
入道雲が何かの記憶を
引き出しのか
はたまた
入道雲が好きなのか
全くわからないが
秋空に広がる入道雲を
東京都心の高層階から
一番弟子の方と僕は
しばらく見ていました。