神田や岩本町あたりは
時間がとまっているのではないか
と思うほど
穏やかな空気がある。
五月晴れの
午前中、大きな荷を歩道におろす作業が行われていた。
安全確保のため
歩行者の歩行をとめる。
荷おろしには数分の時間がかかる。
待たされる歩行者は
当たり前のように
待っている。数分間。
数分を待てない
というのが今の日本のような気がするのです。
スピードと目前の問題解決
そいつが押し付けられていて
待つ
という非生産的行為はご法度な感じでしょう。
岩本町の歩行者は
さもありなん
みたいな感じで
苛立つことなく
待っている。
僕は風土を考えてしまった。
狭い都心のなかでも
たゆたった時間が流れる場所がある。
それは驚きですね。
その場所のもつ風土なのかな。
むかしタイに行ったとき
昔の日本の風景を感じた。
狭い路地、路地にはえる雑草
川辺で涼む人々
屋台のにおいと喧騒
性欲むき出しな一区画
そういう「猥雑」な感じのする場所にいると
タイムトリップした感じになる。
父親や母親が若いころの世界に舞い降りた感じ。
日経平均で奔走する世界とは
真逆の下町のよさ。
やはり
書も仕事もすてて街に出る
ことは必要ですね。
書とは別に学び、思い出す力が
街にはありますからね。
その日、お昼は
神田で
美味しい親子丼を食べた。
半熟のたまご
つまり「子」と だしが
ごはんの美味さを引き立てていた。